「免疫力が高まるかもしれない温泉利用とは」

一日の疲れを癒す方法は人それぞれですが、その中でもお風呂に入ることはかなり効果的ではないでしょうか。
また、無類のお風呂好きの方でなくとも、ちょっと休暇が取れると温泉地へ旅行する方も多くいらっしゃいます。
それは、水道水を沸かしただけの家のお風呂より、温泉は疲れを取ってくれるのではないかと言うイメージがあるからではないでしょうか。

事実、温泉に浸かって体が温まり、血流が向上することで細胞が活性化し、免疫力がアップすることは研究で実証されているようです。
つまり、これは温泉に浸かることで体温を上がり、温泉にしかない健康につながる効果を得られるかもしれないということです。
もちろん、そうした効果以前に、自然の景色を愛でながら温泉に浸かること自体が、気分転換になりストレスを解消できることにつながり、温泉は元気な体作りに役立つとも考えられるでしょう。
そこで今回は、温泉利用で免疫力が高まるらしい温泉利用についてご紹介していきます。

温泉効果を活用した「温泉療法」とは

日本には、昔から湯治（とうじ）という温泉地に少なくとも一週間以上滞留して、特定の疾病を治療する目的で温泉療養を行う習慣がありました。
現在の日本では、温泉療法という言葉に、医科学の観点での明確な定義はありませんが、温泉療法とされる方法には指定の病院で医師の管理下で行う慢性病の治療やリハビリテーションを行う「医療的温泉療法」と、温泉に入ることで病気の予防・保養に活用する「温泉ウェルネス」というカテゴリーに分けられて紹介されています。

◇温泉が疾病に対して一定の効果を促す作用を持つ理由

温泉の効果には、物理的効果と化学的作用の二つがあります。
まず、物理的効果には、温熱作用によって体を温め血液の流れを良くすると、新陳代謝が活発となり、血液の滞留によって起きている体のコリやダルさが改善され、時には痛みの軽減を得ることもあります。
次に、人の体は水中では体重が約1/9から1/10になる浮力効果が得られ、これによって痛めている筋肉や関節への負担がかなり軽減され、体機能回復のリハビリテーションが行いやすくなります。
そして、湯に入ることで体は、水圧を受け血行を促進するという静水圧効果（適度な水圧で血管が圧迫されることによりポンプの役割を果たす効果）が得られ、手足などのむくみの解消が期待されます。
化学的作用としては、温泉には何種類かの化学物質が溶け出しており、温泉に浸かることで肌や口（飲料療法）から体内に吸収され、体に何らかの変化を与えています。
例えば、塩素イオンの殺菌効果によって、切り傷などの治癒に良い影響を与えたり、鉄分が多く含まれる含鉄泉を飲用すると、鉄欠乏性貧血に良い影響を与えたりすると言われています。
また、湯に入ることで温泉内の成分が肌に付き、時間がたっても体が温まった状態が続きますので、この現象は冷え性の体に良い影響を与えると言われています。
さらに、人体の免疫機能であるリンパ球やNK活性（がん細胞やウイルスに感染した細胞を攻撃するNK細胞の強さ）が温泉に入ることで高まり、免疫機能がアップするという研究データがあることから、免疫疾患であるリウマチなどへの良い影響が期待されているようです。
そして、温泉地の大自然の中、景色の美しい露天風呂に浸かりリラックスすることで、自律神経に作用するホルモン分泌が活発になり、日常生活で抱えたストレス症状にも良い影響を与えると考えられているそうです。

温泉で免疫力をアップさせるポイント

温泉で免疫力をアップさせるには、適温の湯温にほどよい時間だけ入浴することが大事です。
熱すぎたり、ぬるすぎたりする温泉は、免疫力を高める目的には向いていません。その理由は、熱すぎ、ぬるすぎの湯は、免疫系が抑制してしまうという実証データがあるからです。
また、体に良いからと言って長く入り過ぎてもいけません。
その理由は、長時間の入浴は体に負担をかけてしまい、免疫力アップにはつながらず疲れてしまうだけだからだそうです。
額に汗をかいたら湯船から一旦出て、体のほてりが引いてから、また湯につかるという方法が良いとされています。
次に、ご自身がリラックスできる環境（山・海などの自然環境）やひなびた温泉街などの温泉施設の立地を選ぶことで、リラックス効果が期待でき免疫効果にも良い影響を与えたりするようです。
そして、ただ温泉に浸かるだけでなく、温泉地でウォーキングやトレッキング、海水浴などの運動を取り入れるとか、周辺の観光地で新しい発見をするなどで、気分転換をすることや温泉との相乗効果を期待できますので、試されてみるのはいかがでしょうか。