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主婦の知恵コラム「蕎麦の旬は、夏にもある!?」

ざるそば

「蕎麦の旬は、夏にもある!?」

のど越しを楽しみ味わうと言われる蕎麦ですが、史実によりますと蕎麦は奈良時代以前には、すでに日本にあったとされており、平安時代の和歌には、蕎麦の実の粒を粥にして食べていたことが詠まれているそうです。
今のような麺のような形のものを食用するようになったのは、江戸時代の頃という説もあります。
そもそも、蕎麦は荒れた土地でも育つ丈夫な作物として育てられていました。
蕎麦は、種蒔きの後4~5日ほどで発芽し、ひと月半ほどで蕎麦の花が咲き出し実をつけていき、2カ月半前後で収穫できる作物であり、年に2回、季節次第では3回収穫できるとも言われています。
蕎麦の季語は秋で、まさに収穫の秋が新蕎麦の季節だから、蕎麦の美味しいのは秋だけと思われるかもしれませんが、夏の新蕎麦も美味しい蕎麦なのです。
蕎麦と言えば「秋」に旬を迎える食物として通説でしたが、実は昔から蕎麦は夏も栽培し収穫されていたのです。
今回は、以外と知らない「夏蕎麦」の味わいや、蕎麦全般についてご紹介していきます。

ざるそば

夏の新蕎麦とは

夏も蕎麦の旬であるということは、あまり聞いたことがないと思われる方もいらっしゃるでしょうが、これは秋の新蕎麦に比べて夏の新蕎麦は、香りやコシに乏しく風味に欠けると従来言われていたからのようです。
しかし、今は蕎麦の品種改良がなされ、各土地の気候や土壌の成分に合う蕎麦が開発されてきているそうです。
そのおかげで、秋の新蕎麦に負けず劣らずの魅力ある蕎麦が、夏にも収穫されるようになっています。
夏の新蕎麦の主な産地は北海道と言われ、旨味が豊富ながら風味はさっぱりとした味わいだそうです。
暑い夏だからこそ、さっぱりとした味わいが受けるというのも夏蕎麦の魅力ではないでしょうか。
夏と秋に新蕎麦があるというのは、単純にそれぞれの季節が収穫時期に当たるところから、そのように呼ばれるようになったのですが、南北に長い日本ですから当然産地ごとに収穫時期が異なります。
たとえば、夏の新蕎麦は九州で4月上旬から収穫が始まり、8月中旬頃に北海道で収穫されて終了し、秋の新蕎麦の収穫は北海道で9月下旬に始まり、徐々に南下し九州で11月中旬頃まで収穫ができるようです。

そば畑

◇戸隠の蕎麦

長野県長野市内から、車で1時間ほどの山間にある戸隠地区で収穫される蕎麦の実から作られる「戸隠そば」は、「岩手県のわんこそば」「島根県の出雲そば」と並び日本三大そばのひとつです。
そもそもは、平安時代の山岳修験者の携帯食として、そば粉が珍重されたことに始まり蕎麦が名産となっていったそうです。
戸隠では年に2回(夏と秋)、蕎麦が栽培されますが、夏蕎麦は8月中旬頃から、
秋の新蕎麦は10月下旬頃、市場に出回るようです。
毎年10月下旬に戸隠神社では、「新そば献納祭」が行われており、白装束のそば職人が神前で新そばを打ち、戸隠神社の祭神にお供えしているそうです。
これは、蕎麦の名産地ならではの行事ではないでしょうか。

蕎麦の旨味と味わい

秋蕎麦が濃厚な風味や香りを売りとするならば、夏蕎麦は淡い清涼感を楽しむ味わいが売りとなります。
蕎麦の美味しさは土壌と気温の寒暖差にあると言われており、蕎麦の栽培に適した土壌は火山灰地帯で、標高1000メートル付近のそば畑で行われ、日中と夜の気温差が激しい土地柄で育つ蕎麦の実は締まりが良く、タンパク質やグルテンが豊富な旨味のある蕎麦ができるようです。

そばの実

◇蕎麦の栄養価

日本の夏は湿気も多く、気温が30度を超える地域が多くありますので、暑いためどうしても夏場には食欲が落ちることもあります。
そういう時の食事は、ビタミンやミネラルなどの摂取バランスが崩れやすいものですが、蕎麦は炭水化物をベースに、ミネラル、ビタミン、タンパク質、脂質などの栄養素が含まれていますので、夏場の偏食を助けるにはぴったりの食物です。
そういうことからしますと、夏場の昼食は蕎麦でも手繰ろうかという言葉は、理にかなっていると思われます。
夏蕎麦も秋蕎麦も、味わいの違いはあっても含有されている栄養素に大きく変わることはありません。
栄養だけではなく、蕎麦粉に含まれる植物性蛋白質には二日酔いにも効果があるという期待が寄せられていますし、血液をサラサラに毛細血管を強くする働きのあるルチンで高血圧の予防も期待されています。

そば

まとめ

私たちが、食べる蕎麦の原料である蕎麦粉は、製粉する時点で4種類の粉をつくります。
そばの実の中心部分の胚乳を粉にした一番粉は、白く透きとおった「更科」という蕎麦になり、胚乳の周りの緑黄色の部分も合わせ挽くと、二番粉となり「挽ぐるみ」という蕎麦になります。
実の外側の黒みがかった部分も入っているのが三番粉で、「藪そば」「田舎そば」という蕎麦になり、製粉の最後に出る四番粉まで使うと「蕎麦の乾麺」が出来上がります。
山岳地帯の痩せ細った土地で育つ蕎麦ですが、食物繊維も含まれ腸内のコレステロールなどを体外に排出する効果も期待される栄養豊富な自然食なのです。
蕎麦の香りと風味豊かな味わいを堪能しながら、健康食である「蕎麦」を夏の食事メニューに取り入れてみるのはいかがでしょうか。

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